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ゲームショウ2010を終えて(4) [ゲーム分析]

 さて。ゲームショウの解説も、これで最後です。

 東京ゲームショウは、今後、じわじわと変革されていくでしょう。まずは海外の企業が日本企業よりも多くなり、国際色が強まっていくことになります。そして同時に、これは「家庭用ゲーム機のソフトウェアの祭典」ではなくなっていく、という方向へと変わっていくと思います。

 というか、そうならなければ、もう明るい未来が見えないですからねー。



 だってさ。

 たとえば、ここ数年の日本で、「もっとも多くの人がプレイしたゲーム」は、たぶん「ポケモン」ではないんだよね。ケータイのアプリです。ソーシャルゲームですね。

 これは世界的に見ても同じこと。ここ数年で、世界で「もっとも多くの人がプレイしたゲーム」は、たぶんFacebookの「Farmville」になるんじゃないかな?



 さらにいうと、いまでは、ゲーム以外の「楽しいこと」も、たくさんある。

 個人的なことを言いますが、野安は、いま1時間の空き時間があっても、ゲームはプレイしてません。ネットの動画サイトを見て、けらけらと笑って、楽しいひとときを過ごしてます。

 5時間あったら、「ボーカロイド」を立ち上げて、こつこつと曲を作って遊んでます。

 もう、ゲームソフトを遊ぶことは、暇つぶしのためのファーストチョイスではなくなっています。ゲーム機の電源を入れるのは、あ、これは面白そうだから、プレイしてみよう! と心に決めたソフトがあるときだけですね。



 うん。わかってる。ゲームライターの風上にも置けないような行動パターンですよね。

 でも、いま、けっこう多くの人が、そうなってるんじゃないかなぁ?

 たとえば、電車の中で数十分の時間があっても、ゲームをやらずに、多くの人が、たとえばTwitterとかでつぶやいてるんじゃないかと思うのだが、どうだろう?



 だから、家庭用ゲーム機ビジネスに関わる人は、真剣に考えなくちゃいけないんですよ。

 いいゲームを作らなくちゃ!
 そのために技術力を上げなくちゃ!

 みたいなことが、よく課題として検討されてるんだろうけれど、いやいや、そんなこと考えるのは後回しでいいんだよ。そんな小さなことにこだわって、どうしようというのか。それよりも先に、まずは

 みんな、これからもテレビゲームを遊んでくれるのか?

 っちゅう根っこのところを、最優先で考えなくちゃいかんだろう、と野安は思います。だって「いいゲーム」さえ作っていれば、ユーザーはゲームを遊び続けてくれる――といった都合のいい未来は、たぶん訪れないでしょうから。



 人間は、楽しいことが好きです。だから「楽しいこと」には時間を費やすし、お金も払う。

 だけど、それは「ゲームでなくちゃいけない」わけじゃないからね。

 ゲーム以上に面白いものがあれば、多くの人が、ゲームなんかしなくなる。当たり前のことです。そしていま、そういう時代が到来しているのだと、野安は認識しています。

(ゲーム機でビジネスをしたいのであれば、「これまでは、とうていゲームだとカテゴライズされていなかった遊び」を、ゲーム機で楽しめるようにする、という方法論を模索するしかないように思います。それって、つまり、ここ数年、任天堂がやってきたことですね)



 さーて。

 また、あえて敵を作るようなことを書いておこう。

 というわけで、野安がゲーム関連企業の経営者なら、「ゲームなんか作るな!」という方針を打ち出すでしょう。

 とにかく、人々を楽しませるものを作れ!
 とにかく、人々を笑顔にするものを作れ!

 そんな指針を打ち出すでしょう。で、そうやって生み出された遊びが、「ゲーム機で遊ぶ形」に落とし込めるようなら、それはゲームとして売ればいい。そうでないなら、違う形でビジネスにすればいいわけですしね。

 まあ、経営ってのは、そんなにシンプルじゃないけど、発想の方向性としては間違っていないと思うよ。



 ゲームショウの話に戻ります。

 そんな、新しい形の「デジタルな面白いもの」を、どこかのタイミングで、ゲームショウは飲み込むことになるのか?

 あるいは、そういうものを除外したところで、「昔からゲームとカテゴライズされたもの」を軸に展示するイベントとして、いわばエンタテインメント・ビジネスの脇役を紹介する、そんなイベントとして続けていくのか?

 ゲームショウは、そんな分岐点に立たされてるんだろうな、と考えている次第です。いやー、いろいろと大変そうだなぁ。


http://twitter.com/noyasuyukio もどうぞ)


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