ゲームショウ2010を終えて(1) [ゲーム分析]
今年のゲームショウは、なかなか面白かったです。毎年のように現地に足を運んでいるような熱心なファンの方には、いろいろと感じるものがあったと思います。
野安にとって、いちばん強く印象に残ったのは、日本のゲーム市場の底力、でしょうか。
「日本のゲームはダメだ」とか、「海外に比べて遅れてる」とか、そういうネガティブな声も頻繁に聞こえてくる昨今ですが、いやいや、日本のゲーム市場って強いなぁ……という感想を、いろいろな意味で感じた4日間でありました。
というわけで、あまりゲーム系メディアが書かないであろう視点から、今年のゲームショウを解説しておきますね。
えーとですね、今年のゲームショウの最大の特徴は、海外企業(とりわけアジアの企業)が本腰を入れた、たぶん初のゲームショウだった、ということ。
今年の出展ブース数は、およそ200。これを地域別に見ると、日本企業が100前後、海外企業が100前後と、ほぼ拮抗した数字になりました。海外企業の進出の勢いは止まりそうにないので、たぶん来年には海外ブースの方が多くなるでしょう。
東京ゲームショウは、そういうイベントへと変わりつつあるということです。
もともと、ここ1~2年、世界各国からさまざまな企業(や国、自治体など)がブースを出すようになっていましたが、「とりあえず、様子見しよっと♪」みたいなところが多かった。彼らが本気で対応していたのは、日本のゲーム関係者や流通関係者が訪れるビジネスデーだけで、一般入場者が訪れる最後の2日間は、力を入れなかったりしたわけです。
でも、今年は違った。
台湾系、中国系の企業が、ドカン! と巨大ブースを構えて、一般入場者に向けた大アピールを実行してきたのですね。ついにアジアの大手企業が、日本市場に向けて、本気で乗り込む姿勢をみせた、ということです。
ところで、アジア諸国の大手企業って、どのくらいの規模の会社なの?
と疑問を持つ方もいるでしょう。そういうデータって、あまり語られることがないですからね。
ひとことで言います。「任天堂は別格」として例外と考えるとすると、他の日本のソフトメーカーは、もはや営業利益で、中国トップクラスのソフトメーカーには勝てません。そのくらいの巨大規模のメーカーが、いまなお急激な右肩上がりで成長している真っ最中です。中国本土のゲーム系企業って、めちゃくちゃ強くなっているのね。
数年後に「アジアのゲームメーカー大手10社」みたいなランキングを作ったら、その上位には、日本以外のメーカーがズラリと顔を並べるでしょう。
そういう巨大ソフトウェア企業が、ついに日本市場に乗り込んできた! というのが、今年のゲームショウの最大のポイントなんですね。
そうそう。ゲームのためのショウなのに、「Acer」のブースがあったことに、気付いた方もいるでしょう。台湾のPCメーカーですね。日本での知名度は高くなく、「安いパソコン」としてのみ知られているブランドだったりしますが、ここ、いまやオリンピックの公式スポンサーを獲得するような巨大ブランドです。
そこのブースが出てたのは、Acerが、今年の東京ゲームショウのオフィシャルPCスポンサーだから。たとえばプレスルームには、無料でAcerのパソコンが並んでいて、使い放題だったんですよ。
そういう募集をしたら、手を挙げたのは国内メーカーじゃなくて、台湾メーカーだったっちゅうことです。こういうところからも、中国や台湾のデジタル系企業の強さがわかります。
なんで、アジア系企業が、日本のゲーム市場に乗り込んできたのか?
彼らが自社コンテンツを持つようになったからです。デジタル産業において、アジア諸国は長いこと「作品制作の下請け」のような立場にいたんだけど、ついに力をつけて、自力でコンテンツを持ち、サービスを運営するようになった。そして自国以外へ進出するようになった、ということですね。
そんな視点からすると、日本市場ってのは、すごく魅力的なのよね。
日本のユーザーは、「面白い」と思ったものになら、みんながちゃんとお金を払います。しかもユーザーの年齢層も、とてつもなく広い。しかも、みんながケータイを介して、有料のネットサービス(ゲームを含む)をごく普通に利用している。こんな市場は、世界を見回しても日本にしかないのですね。
国外の人の目からすると、日本のゲーム市場は、魅力的な市場なんですよ。
(つづく)
(http://twitter.com/noyasuyukio もどうぞ)
野安にとって、いちばん強く印象に残ったのは、日本のゲーム市場の底力、でしょうか。
「日本のゲームはダメだ」とか、「海外に比べて遅れてる」とか、そういうネガティブな声も頻繁に聞こえてくる昨今ですが、いやいや、日本のゲーム市場って強いなぁ……という感想を、いろいろな意味で感じた4日間でありました。
というわけで、あまりゲーム系メディアが書かないであろう視点から、今年のゲームショウを解説しておきますね。
えーとですね、今年のゲームショウの最大の特徴は、海外企業(とりわけアジアの企業)が本腰を入れた、たぶん初のゲームショウだった、ということ。
今年の出展ブース数は、およそ200。これを地域別に見ると、日本企業が100前後、海外企業が100前後と、ほぼ拮抗した数字になりました。海外企業の進出の勢いは止まりそうにないので、たぶん来年には海外ブースの方が多くなるでしょう。
東京ゲームショウは、そういうイベントへと変わりつつあるということです。
もともと、ここ1~2年、世界各国からさまざまな企業(や国、自治体など)がブースを出すようになっていましたが、「とりあえず、様子見しよっと♪」みたいなところが多かった。彼らが本気で対応していたのは、日本のゲーム関係者や流通関係者が訪れるビジネスデーだけで、一般入場者が訪れる最後の2日間は、力を入れなかったりしたわけです。
でも、今年は違った。
台湾系、中国系の企業が、ドカン! と巨大ブースを構えて、一般入場者に向けた大アピールを実行してきたのですね。ついにアジアの大手企業が、日本市場に向けて、本気で乗り込む姿勢をみせた、ということです。
ところで、アジア諸国の大手企業って、どのくらいの規模の会社なの?
と疑問を持つ方もいるでしょう。そういうデータって、あまり語られることがないですからね。
ひとことで言います。「任天堂は別格」として例外と考えるとすると、他の日本のソフトメーカーは、もはや営業利益で、中国トップクラスのソフトメーカーには勝てません。そのくらいの巨大規模のメーカーが、いまなお急激な右肩上がりで成長している真っ最中です。中国本土のゲーム系企業って、めちゃくちゃ強くなっているのね。
数年後に「アジアのゲームメーカー大手10社」みたいなランキングを作ったら、その上位には、日本以外のメーカーがズラリと顔を並べるでしょう。
そういう巨大ソフトウェア企業が、ついに日本市場に乗り込んできた! というのが、今年のゲームショウの最大のポイントなんですね。
そうそう。ゲームのためのショウなのに、「Acer」のブースがあったことに、気付いた方もいるでしょう。台湾のPCメーカーですね。日本での知名度は高くなく、「安いパソコン」としてのみ知られているブランドだったりしますが、ここ、いまやオリンピックの公式スポンサーを獲得するような巨大ブランドです。
そこのブースが出てたのは、Acerが、今年の東京ゲームショウのオフィシャルPCスポンサーだから。たとえばプレスルームには、無料でAcerのパソコンが並んでいて、使い放題だったんですよ。
そういう募集をしたら、手を挙げたのは国内メーカーじゃなくて、台湾メーカーだったっちゅうことです。こういうところからも、中国や台湾のデジタル系企業の強さがわかります。
なんで、アジア系企業が、日本のゲーム市場に乗り込んできたのか?
彼らが自社コンテンツを持つようになったからです。デジタル産業において、アジア諸国は長いこと「作品制作の下請け」のような立場にいたんだけど、ついに力をつけて、自力でコンテンツを持ち、サービスを運営するようになった。そして自国以外へ進出するようになった、ということですね。
そんな視点からすると、日本市場ってのは、すごく魅力的なのよね。
日本のユーザーは、「面白い」と思ったものになら、みんながちゃんとお金を払います。しかもユーザーの年齢層も、とてつもなく広い。しかも、みんながケータイを介して、有料のネットサービス(ゲームを含む)をごく普通に利用している。こんな市場は、世界を見回しても日本にしかないのですね。
国外の人の目からすると、日本のゲーム市場は、魅力的な市場なんですよ。
(つづく)
(http://twitter.com/noyasuyukio もどうぞ)
2010-09-22 00:00
nice!(0)
トラックバック(0)