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プロ受難の時代 [ゲーム分析]

 もう一度告知。日経ビジネスオンライン上の連載コラム「デジタルエンタメ天気予報」が、9月から再スタートします。

 ゲームショウの1週間くらい前に、まずは「ゲームショウ直前スペシャル」みたいな形で復活しますので、よろしくどうぞ。こうして、ちゃんとギャラをもらって、ゲームのことを書ける場所が復活したのは、ありがたいかぎりです。



 で、ゲームの話をしますと。

 これからはアマチュアが元気になる時代でしょう。ゲーム作りを本業としない人たちが「趣味で作った」ものが、ビジネス面で、大きな比重を占めるようになっていく。

 すでに、iPadとかiPhoneとかが、そうなってますね。


 プロアマ混在の市場では、プロが資金を投入して作ったゲームも、アマチュアが作った膨大なソフト(しかも無料だったり安価だったりする)の中に埋もれることが多い。だからビジネスとして本格的に参入するのは厳しい。――みたいな意見を聞くこともあるわけですが。

 でもさ、そんなもん、知ったこっちゃないよね(笑)。

 愚痴られても困る、って感じです。

 ユーザー側にしてみれば、プロが本腰を入れようが、入れなかろうが、どっちでもいいもん。作品の作り手がプロだろうがアマチュアだろうが、自分が楽しければいいわけだし。

 はっきりいえば、アマチュアの作った膨大な作品(もちろん駄作も多い)があるからといって、その中に埋もれちゃうような作品しか作れないなら、これからはプロとしてやっていけない時代なんだから、いいかげん腹くくってくれや、っちゅうことです。



 おおざっぱに言いますと。

・さすがプロの作品! と唸らせるようなソフト。
・アマチュアが作った、大衆には受けなくても、一部の人がそこそこ楽しめるソフト。

 の二極化が起きるかもしれないなぁ、と考えています。そこそこの楽しさを提供するものはアマチュアの力でカバーできるから、プロは「本当に凄いものだけを作ることで、生き残るしかないよね」という時代になるんじゃないかと。

 ゲームにかぎらず、あらゆるジャンルで、そうなっていくんだと思いますよ。



 たとえば、日本の音楽シーンって、そういう状況になりつつあるでしょ。

 だってさ、いまやカラオケのリクエスト曲のランキング表を見ると、上位をボーカロイド楽曲が占めてたりするわけですよ。ベスト10のうちに4~5曲がボーカロイド楽曲だったりするのは、もう珍しいことじゃない。

 アマチュアの作った曲が、プロの作った曲に混じって、ビジネスシーンに顔を出し始めて、そろそろ無視できない存在になっているという現実がある。そういう時代なんですね。

 もちろん、だからといってプロがいなくなるわけじゃない。それらのアマチュア作品を凌駕するような、「さすがプロ」という作品を作れる人たちは生き残るし、むしろ今以上の尊敬を受けることになるでしょう。



 ゲームビジネスは、そろそろ、そんな時代に突入します。

 「スペースインベーダー」ができてから、およそ30年。いろいろあったものの、それなりに順調に成長してきたゲームビジネスが、とんでもない荒波に、はじめて直面することになるんですね。なんというか、いろいろと面白い時代になりそうだなぁ。



 ――といった視点から、「デジタルエンタメ天気予報」の第2シーズンはスタートすることになる予定です。もうちょっと待っててくださいませ。

http://twitter.com/noyasuyukio もどうぞ)


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