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ゲームの面白さとは何か? 幕間2-3 [箸休め]

 いいゲームが、あまり売れない。

 みたいなフレーズを、ときおり耳にします。

 いまは、そういう時代なんだよね――みたいな愚痴とともに言われることが多いようですね。直接、そういったことを言われることもあります。そういうときは、「ああ、そうなんですか」と、真意を濁した返答をするようにしています。

 でも、本心では、そんなこと、これっぽっちも思ってません。



 20年以上にわたって、ゲームに関わる仕事をしてきたわけですが、これだけは、はっきりと断言できます。

 いいゲームってのは、たいてい、ちゃんと売れます。

 いいゲームがあれば、ちゃんと話題になって、ちゃんと売れるもんなんですよ。ユーザーを馬鹿にしてはいけません。



 「ゲームの良し悪し」の基準ってのは、人によって違います。

 だから、Aくんにとっての「いいゲーム」が、Bさんにとって「面白くないゲーム」になることもある。当然ですね。

 だからAくんにとっての「いいゲーム」が、思ったよりも売れない、ということはあるでしょう。つまり、それは他の大勢の人にとっての「いいゲーム」ではなかった、という場合ですね。

 なにしろ、いまは、年齢・性別・職業・文化・言語・宗教・肌の色……にいたるまで、あらゆるものが違っている人たちが、ゲームに接するようになっています。自分にとっての「いいゲーム」が、世間一般での「いいゲーム」と重なっているかどうかは、おいそれとは判断できない時代なんですよね。



 でもね。

 多くの人が、いざプレイすれば「いいゲームだ」と評価するようなゲームってのは、たいていの場合、ちゃんと売れるんですよ。

 とりわけ最近はそうです。年齢・性別を問わず、みんながゲームに触れるようになったからでしょう。BlogとかSNSとかTwitterとか、それぞれ個人が意見・感想を発信できる手段が、かつてないほど充実してきました。

 口コミによる情報伝達が、これほど発達した時代は、なかったのですよ。

 だから、多くの人が「これ、面白い」と感じるようなソフトならば、ちゃんと話題が広がっていって、きちっとヒットするんですよね。

 10年前だったら「意欲作だったけど、売れなかったねぇ」と評価され、隠れた名作として埋もれかねなかったソフトが、ちゃんと売れるようになっているんだと思います。発売日直後は話題にならなくても、じわじわと、延々と売れ続けるロングラン・ヒットが増えているのは、そのためでしょう。

 いい時代になったなぁ、と思います。




 だからね。

 「いいゲームが、あまり売れない」
 「いまは、そういう時代なんだよね」

 みたいな意見に、野安は、まったく同意しない。

 あなたが「いいゲーム」だと思っているソフトが、世間一般では「いいゲームだ」と思う人が少ない――というだけのこと。

 何度でもいいます。あなたの基準ではなく、世間の多くの人が「いいゲームだ」と感じるようなゲームならば、ちゃんと売れるんですよ。




 みんなが、世間の基準に合わせる必要はありません。

 ゲームの良し悪しの基準は、それぞれ違います。誰もが、自分が「面白い!」と感じたゲームを、「これは、いいゲームだぜ!」と叫べばいい。

 ただ、自分が“いい”と思うゲームが思ったよりも売れず、自分が興味のないタイプのゲームがヒットしているからといって、「時代が悪い」とか「そういう風潮は嘆かわしい」みたいな、後ろ向きな発言をするのは、なんというか、格好悪いなぁと、個人的には思います。



 やっぱさ。ゲームに対して発言するのなら、素敵なお馬鹿さんになることを心がけたいものです。

「オレが“いい!”と思うゲームって、売れないんだよね」
「でも、オレは、そういうゲームを愛し続けるぜ!」

 と、前向きに叫んでほしいなぁと。そういうお馬鹿さんって、格好いいと思うのですよ。



※興味のある方は http://twitter.com/noyasuyukio もどうぞ。
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