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ゲームの面白さとは何か? 幕間 1-1 [ゲーム分析]

 これは序章が終わってから、本編に入る前の、ちょっとした息抜きコラムです。

 今回はボーカロイドのお話。広義にとらえるなら、「キャラクター・ビジネスとアイドル・ビジネス」についての考察――かもしれません。



 まずは予想から。

 「初音ミクは、2010年12月の紅白歌合戦に出場する」

 と野安は思っています。昨年の秋くらいから、いろいろな人に語ってきました。当時は「面白そうだけど、実際にはありえないよ」という反応が返ってきたものですが、最近では「うん。あるかもね」という反応が増えてます。たぶん秋口になると、「そりゃ当然でしょ」という空気になっていくんだろうと予測しています。

 だって、初音ミクは、デジタル・エンタテインメント産業が生み出した、史上初の「デジタル・アイドル」ですからね。

 こんな貴重な存在を、NHKが大々的にプッシュしないはずがないだろうな、と予想している次第です。




 さて。

 初音ミクは「デジタル・アイドル」である。

 と書くと、たぶん、あまり賛同されないんだろうなぁ、と予想します。誰かがそう力説していたら、たぶん野安も、すぐには賛同しないだろうし(笑)。

 でもね。

 「初音ミクは、つまり、デジタル・アイドルなんですよ」という視点からの考察を持っておくと、けっこう活用できる機会があります。

 世の中には、ボーカロイドがどのような人気を持っていて、どんなムーブメントになっているのかを、肌で実感していない人がたくさんいるからです。

 野安は、職業柄、そういう人に対して、このムーブメントを説明することがあるのですが、そのとき「初音ミクって、つまりはアイドルなんですよ」というところから話をスタートすると、理解してもらいやすいんですよね。



 アイドルってのは、完璧じゃダメです。

 むしろ、隙がなければいけません。歌も踊りも顔もスタイルも、すべて完璧だったら、むしろアイドルとしての人気が出なかったりします。

 アイドルってのは、足りないものがあることが、むしろ大事なのでしょう。

 たぶん、だからこそファンは「支えてあげなくちゃ」「応援しなくちゃ」と思うからでしょう。それがアイドルの人気を下支えします。これは今も昔も同じで、だからこそ、古くからアイドルには「親衛隊」がついたり、熱心な「ファンクラブ」が作られたりするのです。

 だから、身も蓋もない分析をしてしまうと、アイドルの才能というのは、ファンから「応援したい」という感情を、どれだけ引き出せるか? というところにある、といってもいいのかもしれません。

 ネット風スラングでいうと、ファンに「○○○は、ワシが育てた」という気分になってもらうことが、アイドル・ビジネスの最大のポイントだ、ということですね。



 という視点に立ってみるならば、初音ミクは、典型的なアイドルだと考えることができるのです。

 なにしろ、この女の子、足りないところだらけです。

 自分ひとりでは何ひとつできないし、輝けません。

 だって、そうでしょう? キャッチコピーには「電子の歌姫」とありますけど、ユーザーが曲を作って、詞を作って、音符を入力しないかぎり、ミクはひとことも歌わないんですよ。ユーザーに膨大な労力を要求してくるんです。

 よく考えると、とんでもない歌姫なんですよね。



 でも、こんなにもユーザー負担をかけるから存在だったからこそ、初音ミクってのは、むしろ、みんなに応援されることになりました。

 なにしろ、自力で輝くことができないから、みんなで応援してあげなくちゃならなかったわけです。

 だから、曲を作る人も、絵を描く人も、動画を作る人も、詞だけを書く人も、そしてそれらの動画作品を応援する人たちも、ボーカロイドに関わった人たちみんなが、「自分が参加している」「応援している」から、いまのムーブメントがあるんだよなぁ、という実感を持つことになったのですね。

 だから、こんなにも大きなムーブメントが生まれたんですよ――と、このムーブメントを実感として把握していない人に対して、野安は説明することにしています。

(つづきます)

●このプログはhttp://twitter.com/noyasuyukioと連動しています●

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