ゲームの面白さとは? 序章(2) [ゲーム分析]
まずはビジネス用語の話から。
「B to C」という言葉があります。これは「Business to Consumer/Customer」の略。
ひとことでいうと、企業が作ったものを個人へ販売する、というビジネスのことです。みなさんが小売店で買っている商品は、このビジネスの流れに乗って、あなたの手元にとどいています。
ゲームビジネスでいうと、ゲームソフトの販売というのは「B to C」のビジネスです。ゲームメーカー(企業)が作って、ユーザー(個人)が買ってますからね。
世の中には、ちがう形のビジネスもあります。たとえば「B to B」のビジネス。これは「Business to Business」の略です。
企業が作って、企業に売る、というビジネスですね。ゲームでいうと、たとえば「開発ツール」などが、このビジネスに乗っています。企業が作ったツールを、ゲームメーカーが購入しているからです。
さて。
情報を扱うビジネスというのは、その大半が「B to C」の形になっています。
テレビやラジオ、新聞、雑誌、書籍などを思い浮かべてください。どれも、企業が作った商品を、個人に買ってもらうことで成り立っていますよね? いわゆるマスメディアというのは、「B to C」のビジネスの典型例といえます。
(例外もあります。たとえば「シンクタンク」などは情報を商品にするビジネスですが、それらの情報を企業に売ることで利益を上げてますので、これは「B to B」のビジネスになります)
さてさて。
いま、みなさんは、マスメディアというものが、猛烈な勢いで元気をなくしていることを実感として理解していることでしょう。
ネットが普及したからですね。
このため、情報ビジネスにおいて、もはや「B to C」という形のビジネスは、どんどん影響力を失いつつあります。
そのかわりに、いわば「C to C」とも呼ぶべきビジネスが、いまはスタートしています。
「個人」が作って、「個人」が楽しむ、という形で、さまざまな情報が流れるようになっているわけです。世界中には、膨大な数の個人プログがあって、そこで情報を得ることができるようになっていますよね? 掲示板もあれば、SNSもあれば、Twitterもある。個人が発した情報が、ネット上にあふれる時代になりました。
かつては、「情報」を得るためにはマスメディアを頼らなければいけませんでした。わたしたちは、「B to C」で流れた情報を受け取ることしかできなかったわけです。
でも、いまや、そういった「情報」は、個人が発したものをチェックすれば、それなりに得られるようになりました。だから、相対的に、マスメディアは元気を失っているのです。
あらゆる情報ビジネスが、その影響を受けています。文章のみならず、絵も、音楽も、動画もそうです。いまや、個人が作った作品が、世の中に溢れています。それらを楽しむ人が、たくさん出てきています。
つまり、情報ビジネスにおいては、「B to C」のビジネスが縮小して、かわりに「C to C」とでも呼ぶべきビジネスが大きくなっている、と考えればいいんです。
「C to C」だと、個人から個人へ情報が流れるだけなので、ぜんぜん儲からないのでは? それってビジネスにならないのでは?
と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
たとえば、検索サイト(Googleなど)は元気ですよね?
YouTubeやニコニコ動画も、元気ですよね?
いま、個人が発信した情報を、個人が楽しむ時代になっている。だから、その情報を流す場所を用意する、使いやすく整理する場所を用意する――というビジネスが成立するわけです。
じつは、iPodやiPhoneも、ビジネスの方向性は、こっち寄りです。
Appleは、自分でソフトを大量に作って、大量に販売する――といった、「B to C」のビジネスには踏み込んできません。
世の中には、アプリケーションを作れる人が膨大にいる。それらを買う人がいる。なので、その仲介をするというビジネスをやっているわけですね。作品を作る人の中には、もちろんプロもいるんだけど、それだけに限定せず、個人の参加も認めている。ちゃんと、そこに「C to C」のビジネスが組み込まれているんですよ。
いまは、そういう時代になっているわけです。
では、そんな時代における、「ゲームの面白さ」とは何か? 何を基準にして、世の中の人は、ゲームの面白さを決めているのか?
それを考えることが、これからは大事になっていくんですね。
(つづきます)
(追記)
このプログと連動したTwitter はじめてます。⇒http://twitter.com/noyasuyukio
「B to C」という言葉があります。これは「Business to Consumer/Customer」の略。
ひとことでいうと、企業が作ったものを個人へ販売する、というビジネスのことです。みなさんが小売店で買っている商品は、このビジネスの流れに乗って、あなたの手元にとどいています。
ゲームビジネスでいうと、ゲームソフトの販売というのは「B to C」のビジネスです。ゲームメーカー(企業)が作って、ユーザー(個人)が買ってますからね。
世の中には、ちがう形のビジネスもあります。たとえば「B to B」のビジネス。これは「Business to Business」の略です。
企業が作って、企業に売る、というビジネスですね。ゲームでいうと、たとえば「開発ツール」などが、このビジネスに乗っています。企業が作ったツールを、ゲームメーカーが購入しているからです。
さて。
情報を扱うビジネスというのは、その大半が「B to C」の形になっています。
テレビやラジオ、新聞、雑誌、書籍などを思い浮かべてください。どれも、企業が作った商品を、個人に買ってもらうことで成り立っていますよね? いわゆるマスメディアというのは、「B to C」のビジネスの典型例といえます。
(例外もあります。たとえば「シンクタンク」などは情報を商品にするビジネスですが、それらの情報を企業に売ることで利益を上げてますので、これは「B to B」のビジネスになります)
さてさて。
いま、みなさんは、マスメディアというものが、猛烈な勢いで元気をなくしていることを実感として理解していることでしょう。
ネットが普及したからですね。
このため、情報ビジネスにおいて、もはや「B to C」という形のビジネスは、どんどん影響力を失いつつあります。
そのかわりに、いわば「C to C」とも呼ぶべきビジネスが、いまはスタートしています。
「個人」が作って、「個人」が楽しむ、という形で、さまざまな情報が流れるようになっているわけです。世界中には、膨大な数の個人プログがあって、そこで情報を得ることができるようになっていますよね? 掲示板もあれば、SNSもあれば、Twitterもある。個人が発した情報が、ネット上にあふれる時代になりました。
かつては、「情報」を得るためにはマスメディアを頼らなければいけませんでした。わたしたちは、「B to C」で流れた情報を受け取ることしかできなかったわけです。
でも、いまや、そういった「情報」は、個人が発したものをチェックすれば、それなりに得られるようになりました。だから、相対的に、マスメディアは元気を失っているのです。
あらゆる情報ビジネスが、その影響を受けています。文章のみならず、絵も、音楽も、動画もそうです。いまや、個人が作った作品が、世の中に溢れています。それらを楽しむ人が、たくさん出てきています。
つまり、情報ビジネスにおいては、「B to C」のビジネスが縮小して、かわりに「C to C」とでも呼ぶべきビジネスが大きくなっている、と考えればいいんです。
「C to C」だと、個人から個人へ情報が流れるだけなので、ぜんぜん儲からないのでは? それってビジネスにならないのでは?
と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
たとえば、検索サイト(Googleなど)は元気ですよね?
YouTubeやニコニコ動画も、元気ですよね?
いま、個人が発信した情報を、個人が楽しむ時代になっている。だから、その情報を流す場所を用意する、使いやすく整理する場所を用意する――というビジネスが成立するわけです。
じつは、iPodやiPhoneも、ビジネスの方向性は、こっち寄りです。
Appleは、自分でソフトを大量に作って、大量に販売する――といった、「B to C」のビジネスには踏み込んできません。
世の中には、アプリケーションを作れる人が膨大にいる。それらを買う人がいる。なので、その仲介をするというビジネスをやっているわけですね。作品を作る人の中には、もちろんプロもいるんだけど、それだけに限定せず、個人の参加も認めている。ちゃんと、そこに「C to C」のビジネスが組み込まれているんですよ。
いまは、そういう時代になっているわけです。
では、そんな時代における、「ゲームの面白さ」とは何か? 何を基準にして、世の中の人は、ゲームの面白さを決めているのか?
それを考えることが、これからは大事になっていくんですね。
(つづきます)
(追記)
このプログと連動したTwitter はじめてます。⇒http://twitter.com/noyasuyukio
2010-05-04 00:00
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