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「一強皆弱」は、なぜ起きる? [ゲームハード]

 かつて、テレビゲーム機市場は「一強皆弱」だと言われていました。

 ひとつのマシンが勝者となり、他のマシンは敗者となる。そんな市場だったわけです。

 なぜ、このような市場が形作られたのか? それは、ゲームビジネスというものが、パッケージソフト販売を軸とするビジネスだったからです。



 パッケージソフト販売を軸にすると、そこには「戦争」と呼ばれるような戦いが始まるんですよ。

 たとえば、30年ほど前に、ビデオ規格の戦いがありました。「VHS」と「β」の、どちらのビデオ規格が主流になるか、という戦いでした。リアルタイムで知っている人は、けっこうな年齢ですね。

 結果としては「VHS」が勝ちました。店頭に並ぶビデオ作品は、ほぼすべてがVHSになり、β規格のビデオは、ほぼ消滅することになりました。

 ソフトを提供する側は「こっちが勝ち馬だ」と判断した時点で、一気にそちらに流れていきます。こうして、勝ち組はさらに優勢になっていき、残りは敗北する、という結末に向かうことになるのです。

 このように、パッケージソフトを奪い合う戦いでは、相手を叩き潰せば、こっちが勝つ! という形で結末を迎えるわけです。だからこそ、こういう戦いは「戦争」などと呼ばれたりするんですね。



 ひと昔前のパソコンも同じ。

 MacとWindowsが、互いにしのぎを削りあうライバルのように見られていたのは、パソコンビジネスの中心が、パッケージソフトを売るビジネスだったからです。

 だけど、いずれインターネットが一般化しました。

 パソコンの使い方は、大きく変わりました。どちらOSを使っていても、ふつうに家庭で使用するにあたり、さほどの差がなくなってしまった。やりたいことは、どちらのOSでも、たいていできちゃうわけです。

 こうなると、そこから対立色が薄くなっていきます。

 いま「MacとWindowsの対決は、どっちが勝つんですかねぇ」と質問しても、みんな「はぁ?」としか答えられないでしょう。なにいってんの? もはや対決なんかしてないこと、あんた気付いてないの? という顔をする人もいるでしょう。

 もはや、相手を潰せば勝ち! というような、シンプルな構図になっていないのです。



 今後、ゲーム機も、似たような方向に向かいます。

 ゲーム機がネットワークに繋がるというのは、そういうことなんです。

 ものすごーく大きな枠で考えると、「パッケージソフトを売ることが、収益の大半を占めるような形」で回っていたビジネスモデルが、変わっていくということですね。

 きっと、「相手を潰せば、こっちが勝つ!」といった構図は、どんどん薄れていきます。いくつかのマシンが並存する形になるでしょう。そして「ゲーム機戦争」という言葉が意味を持たなくなるんだろうな、と思っています。

 おおよその目安として、2014~15年あたりで、そうなってくると思うよ。



 たから、これからは「一強皆弱」の勝者になることを目指し、ライバルを叩きのめすことを想定したマシンは登場しなくなるんじゃないかな? もちろん、発売されるマシンは、どれもたくさん売れることを目指すわけですが、「ライバルを駆逐しても、しなくても、どっちでも儲かる」というビジネスになっていくといいますか。

 たとえば、すでにiPhoneとかiPodって、そういうビジネスになってますよね。
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